2024 5.31 fri., 6.1 sat., 6.2 sun.
BÉLA FLECK & ABIGAIL WASHBURN
artist ABIGAIL WASHBURN , BÉLA FLECK
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
弦楽器"バンジョー"の限りない魅力を届ける名コンビ、ベラ・フレック&アビゲイル・ウォッシュバーンのブルーノート東京公演がついに始まりました。チェロ・バンジョーやバリトン・バンジョーも効果的に用いたアンサンブルは得も言われぬ厚みを放ち、音色の粒立ちはソロ、コード(和音)のどちらにおいても抜群です。バンジョーの持つ奥深さに改めて感銘を受けるとともに、エンタテインメント性あふれるステージングにも強く魅了されました。
ベラは1979年に初ソロ・アルバムを発表、自身のグループ"ベラ・フレック&フレックトーンズ"からはヴィクター・ウッテン等の凄腕を輩出し、チック・コリアやクリス・シーリ(パンチ・ブラザーズ)とのコラボレーションでも話題を集めてきた重鎮。アビゲイルは2000年代にユニット"アンクル・アール"(レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズがプロデュースしたアルバムあり)で頭角を現し、2005年に初ソロ・アルバムを発表。同じ年、ベラを含む四重奏"スパロウ・カルテット"での活動も始めています。
ベラとアビゲイルの初デュオ・アルバム『Béla Fleck & Abigail Washburn』は2016年のグラミー賞「ベスト・フォーク・アルバム」を受賞しましたが、この来日公演のセットリストは同作からの「Little Birdie」、続くデュオ作品『Echo In The Valley』からの「Take Me to Harlan」、スパロウ・カルテットのレパートリーでもある「Taiyang Chulai」(中国とゆかりの深いアビゲイルが中国語で歌います)、ほかカーター・ファミリーも歌った「My Home's Across The Blue Ridge Mountains」、公民権運動にも関わったジャズ・ヴォーカリストのアビー・リンカーンが歌った「Long As You're Living」など古典的ナンバーも織り交ぜた、実に興味深く、バラエティに富んだもの。ステージ前半でのふたりは、比較的上手側に位置して、椅子に座ってパフォーマンスしていましたが、後半では下手側に移動し、アビゲイルはスタンドマイクの前で歌います。先に触れた「Take Me to Harlan」では、さらに"Buck Dancing"というタップダンスを届けてくれました。これもまさしく、「百聞は一見にしかず」。リズミカルな足音と、ベラの鮮やかなバンジョー・プレイが見事に調和していました。また、本当にマニアックな視点ですが、リゾネイター(裏板)のあるバンジョーと、ないバンジョーの両方の音色が聴けたのも個人的には収穫でした。
公演の選曲はファースト、セカンド共に大きく異なります。バンジョー・ファンはもちろんのこと、弦楽器やアメリカン・ミュージックを愛する方、そして「気のおけない音の会話」に心ときめく方、誰をも深く満足させるステージと言っていいでしょうし、両セットとも楽しめばエキサイトメント倍増になること請け合いです。愛と喜びにあふれた公演は6月2日まで続きます。
(原田 2024 6.1)
Photo by Makoto Ebi
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【LIVE INFORMATION】
BÉLA FLECK & ABIGAIL WASHBURN
2024 5.31 fri., 6.1 sat., 6.2 sun. ブルーノート東京
2024 5.31 Fri.
1st | |
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1. | I’M STILL HERE |
2. | TUNES |
3. | LITTLE BIRDIE |
4. | IF I COULD TALK TO A YOUNGER ME |
5. | TAIYANG CHULAI |
6. | RAILROAD |
7. | DIVINE BELL |
8. | LONG AS YOU’RE LIVING |
9. | COME ALL YOU COAL MINERS |
10 | REMEMBRANCE |
11 | TAKE ME TO HARLAN |
EC. | HIS EYE IS ON THE SPARROW |
2nd | |
1. | NOBODY’S FAULT BUT MINE |
2. | NEW SOUTH AFRICA |
3. | BLOOMIN’ ROSE |
4. | BURN THRU |
5. | PRIDE OF MAN |
6. | KEYS TO THE KINGDOM |
7. | KANGDING QINGGE |
8. | BRIGHT MORNING STARS |
9. | RHAPSODY IN BLUE |
10 | TAKE ME TO HARLAN |
EC. | HIS EYE IS ON THE SPARROW |